中野共立病院は、70年以上にわたり地域の方に支えられ医療活動を行ってきました。2007年2月にリニューアルし地域に根付いた医療を目指しています。医療・介護・福祉の各分野を通じて深く地域に関わりつづけています。当院は、地域一般病棟を持ち、外来・訪問診療機能を持つ9つの診療所と5つの訪問看護ステーション・介護事業所を展開しており、幅広いフィールドの中で当院の医師たちはジェネラリストとしてこの地域で活躍しています。
初期研修は、4つの基幹型病院の協力型病院として、内科と地域医療を中心に病棟・救急・在宅医療を学ぶことができます。
当院は協力型臨床研修病院ですので、初期研修は東京民医連の基幹型臨床研修病院で行います。初期研修期間中に、内科・地域の研修を当院で行う機会をつくり、初期研修終了後の3年目からの3年間の後期研修につながるものにします。
3年目からの3年間を後期研修と位置づけます。基本領域として、総合診療・内科・リハビリの3つのプログラムを、またサブスペシャリティとして家庭医療・透析・認知症の3つのプログラムを準備しています。
当院は、全日本病院協会のいう地域一般病床の機能を果たしています。地域一般病床は地域でよく見られる疾患の治療、在宅で療養する方の急性期入院、リハビリテーションなどを提供する、患者さんに身近な医療機関です。
いま日本の社会は大きく変化しています。よく知られるとおり高齢者とりわけ後期高齢者が増えています。世帯は縮小し、平均世帯人員は2人以下となり独居世帯が増えています。貧困と格差の拡大は深まっています。世界の人口の半分は都市で暮らしていますが、都市は、感染症疾患なども多く、精神疾患も増えているデータもあり、種々の格差も大きく、溜めも少なく、健康に大きな影響があるとされます。
東京は世界で最大の都市でありつづけ、高齢者人口も東京は今後もっと増えることが予想され、世界規模は更に小さくなり、いろいろな意味で世界の最先端とも言えます。
そうした中で都市の地域一般病床には、ガイドラインやプロトコールに沿って行えば対応できるような単純な問題や、いくつか関連する問題が重なるだけの患者さんは多くはなく、個別性が高い複雑な問題を持っていたり、今後の展開の予想が困難でどこからアプローチを始めたらよいか分からないようなカオスのケースが少なくありません。たとえば、脳梗塞後遺症・狭心症・糖尿病で血糖管理不良・足壊疽を合併の上、認知症の進行がある独居の患者さんが、今の住まいで長く暮らせるようにより良いケアを考えることが求められます。
こうした複雑な問題やカオスの問題を抱える患者さんをマネージメントできる総合医の養成を目指しています。私見ですが、諸外国の医師養成状況からは、こうした総合医が、医師の4~5割くらい必要ではないかと考えています。
総合医を目指したい方、専門医の資格を目指しながらジェネラリストとしての視点も身に付けたい方は、ぜひ当院に見学・実習にいらしてください。
健友会 医師研修委員長 神谷寿美子