デイサービスを行うNPO法人(特定非営利活動法人)「モンドラゴン中野の郷(さと)」が、五月一日から中野区弥生町二丁目にオープンしました。新装なった六〇坪の施設には、入浴、厨房設備も整い、あたたかな雰囲気と活気があふれています。 | ■モンドラゴンとは モンドラゴンとは モンドラゴンというのは、スペインのバスク地方の谷間にある人口26,000人の町の名前です。 ここは町ぐるみで仕事おこし、雇用の確保にとりくんでいることで世界的に有名なところです。「中野でもそういうとりくみを」と、この町の名にちなんで「モンドラゴン中野の郷」と命名されたものです。 ■NPO法人とは NPO法人とは NPO(Non Profit Organizaition)=営利を目的としない民間団体に与えられる法人格のこと。所轄は経済企画庁と都道府県です。 1998年12月1日に施行された「特定非営利活動促進法」では、不特定多数のものの利益の増進に寄与するものと定義され、保健・福祉、社会教育など12の分野の活動を行う団体となっています。 NPO法人「モンドラゴン中野の郷」は、この中野のまちに住み続けたいという思いで、子育て、健康、文化、福祉、介護の問題を自分の手で、地域の力で解決しようという主婦のみなさんが中心になって働いています。上下関係なし、報酬も平等で、いままでのボランティアだけでは担いきれない仕事としてとりくむ意欲が感じられます。 この趣旨は民医連・健友会と同じということで、職員は当然友の会の会員であり、全日本民医連発行の雑誌「いつでも元気」の読者です。 | 四月一二日には、開所式と内覧会が開催され、約七〇人が参加。南中野地域の医療機関やNPO法人の代表とともに、一四人の民生委員・二五人のヘルパーさんの参加が注目を集めました。 健友会からは川島診療所の澤田所長が、また東医研・田辺専務、健友会友の会・小池副会長がそれぞれモンドラゴンへの期待と発展への協力を述べました。 モンドラゴンのスタッフは、施設長の桃田数重氏以下四三人。六〇〜八〇人の利用者さんに登録してもらい、三〇人のヘルパーさんがお世話をします。送迎は五台の車で、食事も施設内で作ります。お正月以外は年中無休、夜間も行う予定。 ヘルパーさんたちのほとんどが地域の主婦。四月はじめの一週間、多田デイサービスで研修を受け、開所に備えました。 佐久間恵さん(37)と土井恵子さん(44)は、ともに多田小学校五年生の男の子をもつお母さんです。子どもから授業で多田デイのお年寄りとふれあう話を聞いて関心をもっていたそうで、モンドラゴンのヘルパー募集にすぐに応募したといいます。 ■佐久間さんの話 同居している夫の両親と実家の父母が年々弱っていくのを見ていて、そろそろ考えなければと思っていたんです。ことし秋からヘルパー講習に行って、資格を取りたいと思っています。 研修前は心配だったんですが、ホッとさせられることばかりでした。利用者さんの名前を早く覚えて、親しくなって、信頼関係がつくれたらいいなと思います。 ■土井さんの話 実家の父が心臓で苦しんでいたときに介護の必要を感じて、ニチイ学館のヘルパー講習に行きました。三カ月前にヘルパー2級の資格を取ったばかりです。 寝たきりになってもあきらめてはいけないな、運動で改善していけるんだ、ということが多田デイのやり方を見ていて思いました。温熱療法も気持ちよかった! 私たちのまわりにはひとりぼっちの人がたくさんいます。引きこもり、障害のある人、痴呆症の人、その人たちが人として豊かに過ごすことのできる生活の質が求められています。 心地よい入浴や,みんなで食べる食事、そして心や体を躍動させるレクリェーション(心身機能活性)も大切な援助の一つです。 私たちは「安心して住み続けられるまちづくり」をめざしています。人はただ生きているのではなく、「生きていてよかった」と喜びや楽しみを感じられることが必要です。モンドラゴン・中野の郷がそんな施設になるように育てていきたいと思います。(鈴木さんは元中野共立病院看護師でモンドラゴンの理事です) |