私自身の生き方が問われるほど胸にせまりました―これは1月17日に行われた「難病患者さんの状態調査」報告集会での一参加者の感想です。 国や東京都は患者さんの声に耳を傾けることなく「難病医療費を切り捨て」ています。波紋を広げている調査について、実行委員長で中野共立診療所の伊藤浩一所長(43)にお聞きしました。 8割の患者さんが打ち切られ C型肝炎などの打ち切りが10月でしたよね。その前に4月にネフローゼが認められなくなった。私、内科で診療やっているんですが、腎臓の関連では中野共立診療所と立川相互病院でやっていて、私の診療に来られるネフローゼの患者さんで8割の方が難病として認められなくなったんです。これはとてもひどいもんだってことで。 一方では石原さんが300万票とって圧勝する、とてもこんなこと認められない、そんな思いが当初はあって。実際に外来の中でたいへん困るんだという話が、複数の患者さんから出されていて、10月には難病医療費助成の仕組みも変わる、なんらかの形で状態調査ができないかというようなことで呼びかけたんです。 ひとりひとりの人生にふれて 実行委員会をやっている中で、難病患者さんのおかれている状態がどんなものか、アンケートの統計や数字では出せない中身がいろいろとあるわけですよね。病気だけでなく、くらし全般の中にいろんなことがあって、患者さんの全体を把握する必要があるわけです。 それで患者さんを訪問して2時間ぐらいお話を伺って、言いたいこと伝えたいことをできるだけ充分に出していただいて、それをまとめるという方法で、今回のような調査になったわけなんですけどね。 結果的に13人の方々からお話を伺うことができました(表・難病指定状況)。診察室ではとても聞けない豊かな内容を話してくださって、それがいろいろな人の共感を呼んでいるのでしょう。 13人のデータでものがいえるのか、という批判はあるだろうと思うんですがね。6、7人から20人くらいの規模でじっくりお話を聞いて、ある集団の特徴をいうというのは、社会学や看護学など多方面から、研究や調査が進んでいるんです。 調査団は全員ボランタリーで 呼びかけに応えて参加してくれた看護師、事務系、技術系、リハの若手の職員たちも、杉並の保健センターの保健師さんもみんな業務の中ではなく、すべて手弁当でボランタリーで、通信費もカンパでなんとかして、38人の調査団は熱心に集まって、土曜、日曜をつぶして、でもやろうということでやったわけです。 ボランタリーな形でやったというのが一つは大きな財産になるんじゃないか、若手の職員が参加してくれたので、今後につながっていくといいな、と期待しているのです。 念願の学生さんと一緒にやれた 医学生や看護学生が参加してくれたことは大変いいことでした。実行委員会の中でもいきいきと貴重な発言をしています。 難病そのものの研究もちゃんとしたい、治療法や原因をはっきりさせたい、一方では外出もできるような環境づくりもしたいと、ほんとに敏感な感性でとらえてくれています。学生さんと一緒にフィールドを提供して活動したいというのは、ずっと私の思いとしてあって今回実現したわけです。 ネットワークをつなげひろげて 報告集会も含めて、まとめとこれからの方向を出すことになりますが、身体的にも精神的にもたいへんだし、社会的、経済的なことも含めてたいへんな人たちもいるという、患者さんの状態を聞いたわけですから、話を伺った責任というのがあって。 医療機関だけでなにかやれるというようには全然考えていなくって、いろんなネットワークをつなげ広げて、少しでも豊な気持ちでくらせるようなそんなことがやれるといいなと思っているのです。 |