「発作が起きると息を吸うことも吐くこともできない」ぜん息などの呼吸器疾患のために苦しい毎日を送っている人たちがたくさんいます。健友会の病院や診療所でぜん息治療を受けている患者も約20人。国や都、首都高速道路公団、ディーゼル自動車メーカーに対し、大気汚染物資の差し止めと損害賠償を求めて、今も裁判を闘い続けています。 一日も早くきれいな空気が吸いたい 中野区在住 岡本未記子(33) 私は、小学校4年生の頃に初めて気管支ぜん息と診断され、それ以来ずっと発作に苦しめられています。夜発作が起きると息を吸うことも吐くことも出来なくなるので、座椅子に座って朝が来るのを待っています。 そんな私には、人並みに結婚することや、まして子どもを持つことは無理だと諦めていました。ですから、夫の結婚の申し込みを二度断りました。しかし「体が弱くてもいい。働かなくてもいい。子どもが持てなくてもいい。」と言う夫の言葉を信じて、思い切って結婚。24歳のときです。子どもは持てないと諦めていた私でしたが、何とか無事に娘が生まれました。私が29歳のときです。 母や夫の助けがあって、何とか今日までやってきましたが、最近はだんだんぜん息が悪化し、発作が起きる回数が増え、症状も重く、一度発作が起きると娘と遊んでやることはもちろん、話しかけてくる娘に応えることもできません。 娘をはじめとする子どもたちのためにも、一日も早く空気がきれいな街に東京が生まれ変われば良いと思います。 安心して吸えない空気 昨年12月の大気汚染調査の結果、杉並区・中野区の空気も、大変汚れていることがわかりました。このような空気のもとでは、私たちもいつぜん息を発症するかわかりません。選ぶことができない、生きていくうえで欠かすことの出来ない空気が、安心して吸えないようでは困ります。 杉並、中野区内でも、幹線道路に加え、環6地下高速道路、外環道路や放射第5号線を作る計画が現実のものになろうとしています。これらの計画は、大気汚染を悪化させるだけではなく、善福寺川や玉川上水の自然破壊につながることも懸念されています。 東京大気汚染公害裁判の現状 杉並、中野で「大気汚染公害のない東京をめざす杉並・中野連絡会」を一昨年11月に結成。この連絡会の顧問である渋谷共同法律事務所の小林容子弁護士に裁判の現状をお聞きしました。 「一昨年の地裁判決は、ぜん息の原因がディーゼル排気ガスであることを認め、自動車メーカーの社会的責任も明らかにしましたが、救済を巨大幹線道路沿道に限るなど、不十分な内容でした。しかし皆さんのお力をお借りした判決後の取り組みで、自動車メーカーは国が制度を作れば費用負担も検討すると約束しました。石原都知事は控訴を断念し責任を認めて謝罪しました。私たちは、都に緊急の医療費救済制度の創設を求めるとともに、裁判に勝利して全面的な解決を」と今後も支援を訴えています。 「健友」同封の署名用紙 病院・診療所の窓口または、中野区中野5の44の3健友会本部・加藤秀大まで。 |