今年、中野区では予算内示の中で成人健診(一部負担400円)有料化を導入しようとしています。 前年、無料化を求める中野社会保障推進協議会などの陳情書・署名、保険医協会の56人の「院長署名」の提出や、医師会や区民の強い反対で、区は成人健診有料化を断念していました。 始まりは区民の健康を守るために 中野区では区民の健康を守るために昭和47年から区民健診を始めてきました。 現在は、年齢の節目で胃がん検診や肝炎ウィルス検査の実施・大腸がん検診なども成人健診と合わせて行えるほど、内容は充実してきています。 杉並区では眼底検査も健診項目に入っています。生活習慣病予防のために各種の健診を行い、疾病を早期発見、早期治療につなげるとともに、必要な保健指導、健康管理に関する正しい知識の普及を行なっています。 がん検診は一部有料化へ 02年度から杉並区、03年度から中野区で大腸がん検診を除く各種のがん検診について、区民の強い反対を押し切り、一部自己負担制を導入しました。 がん検診の一部有料化の実施前02年度までは、いずれの健診についても登録者数、受診者数ともに着実に増加をしていましたが、有料化する前と後の2年間で見ると、無料だった成人健診、大腸がん検診は増加、有料化されたがん検診は軒並み減少しています。 区民健診の有料化には反対です 04年10月1日の中野区の決算特別委員会総括質疑の中で健康づくり担当の今課長は「区民健診は、疾病の早期発見、早期治療につなげていくための区民の健康づくりの重要な施策の一つである」と言っています。それにもかかわらず、区は成人健診までも一部自己負担金制を導入しようとしています。 区民健診有料化になった場合、経済的負担が過重となり受診の機会を遠ざけ、さらには経済的困窮者から受診の機会を奪います。 受診率の低下は、区民の命と健康にかかわる大問題です。また、病気の重症化によって医療費が増大すれば、区の保険財政を圧迫することにもつながります。 区は自己負担を導入し、健康意識の向上をさせようと考えていますが、本当に健康意識の向上が出来るのでしょうか。 行政としての区民の健康を守る責務、憲法25条の生存権とその保障の問題。そういったものを無視する区政の責任はどうなるのでしょうか。 健診受けずに帰ろうと思ったが… 共立診療所で聞いた50代女性の方の症例です。 初めて成人健診を受けに来院し、本人は「今日は受けずに帰ろうかしら」あまり健診に対して乗り気でなかったようです。健診担当者が「せっかく来院されたし、無料なのだからやっていったらどうですか」と当日やることをすすめました。 ご本人も納得し、受診しました。その後診察で脾臓がはれており、至急でCT検査と血液検査をしたところ、データの異常が見つかりました。その日のうちに大学病院を紹介し、その後入院がきまったそうです。ご本人は「あの時成人健診を勧めてもらい、健診を受けて本当によかったです。運がよかったんですね」と喜んで話をしてくれたそうです。 区民健診が有料化されれば、ちょっと受けてみようというような気軽さがなく、受診していなかったかもしれません。 区民健診は本人負担なしで 共立友の会代表委員(元中野区区民健診検討委員会公募委員) 飯島 登 区民健診を受ける人が年ごとに増えていることはよろこばしいことです。これからも1人でも多くの区民が受診されるように勧めることが大切です。 あたりまえのことですが、病気は早く発見して、早く治療をすることによって、ご本人の身体的苦痛も、医療費用の負担も少なくてすみます。その上、健康保険費用の縮減にも役立つのです。区民健診は今のまま、本人負担なしで続けられることが目的に適うと思います。 |