介護保険制度の大改悪案を2005年度の通常国会に提出して、一気に可決成立(2006年実施)させるかまえです。 今回の介護保険制度改革の内容は、高齢者の「自立支援」「尊厳の保持」を基本とし、制度の持続可能性を高める改革です。 改革の項目は全部で5項目「予防重視型システムへの転換」「施設給付の見直し」「新たなサービス体系の確立」「サービスの質の向上」「負担のあり方・制度運営の見直し」です。 介護サービスが制限される 大きく変わる点は、軽度要介護者(要支援、要介護1の利用者)のホームヘルパーやデイサービスの利用を制限し、筋力向上トレーニングなどの介護予防にすりかえる予防給付の創設です。 「予防給付」を受けることが適当だと判断された者は、施設への入所などはできません。居宅サービス利用者の5〜6割がこの軽度介護者です。 現在、この方たちの多くはホームヘルパーやデイサービスなどをうまく利用しながら、生活をなんとか維持しています。 政府は今の財源の構造をそのままにしてこの介護保険制度を持続していくことを考えています。 利用料の1割負担さえ重過ぎるのに… いま現在でさえ、介護保険の要支援・要介護1〜5の方の平均利用率は50%程度です。なぜなら、年金暮らしの高齢者の場合では利用出来る単位分を全部、毎月使用してホームヘルパーやデイサービスなどを利用すると、利用料の1割でさえも、払い切れないからです。 2002年度末の時点では、要介護認定を受けながら介護サービスが使えない高齢者が、全国に約80万人もいることがわかりました。 介護利用料の1割負担が重過ぎてサービス利用をためらう高齢者が大勢いるのです。 介護保険料が引き上げられる 今介護保険料の財源は、半分が公費、半分は皆さんが支払っている保険料でまかなっています。国の考え方はこの財源構造をそのままにし、人口の高齢化や介護サービスの増加により、介護保険料を大幅に増加する試算を出しています。 本当に社会保障の財源はないのでしょうか。将来の高齢化社会に向けて社会保障を充実させるためにと消費税を導入しました。しかし、消費税(148兆円)は法人税減収(145兆円)の穴埋めに消えています。まず、税金の使い道を見直すべきです。 介護保険の改悪に反対し、国の責任で高齢者が安心して介護が受けらけれるよう、国庫負担を増額して介護保険制度を改善することを私たちは求めていきましょう。 生活維持的サービス減らさないで ケア24・西荻所長/ケアマネジャー 斉藤 稔 月200件のケアプラン利用者のうち、約6割の方が今回の「新予防給付」にかかわる軽度要介護者です。軽度の方でも障害を持っている方や痛みをともなう方もいらっしゃいます。そういう方々がヘルパーから生活援助を受け、いまの生活を維持しています。生活維持的サービスを減らしていく今回の改悪は、ひきこもりや食事制限、意欲低下など利用者がおこしかねないと心配です。 高齢者が良い状態で生活を維持していく上で生活維持的サービスが本来必要なのです。 「デイケアへ行って笑顔が増えた。ヘルパーさんとの会話で生きる意欲が湧いてくる」などいろいろな利用者さんの声を聞きます。 介護保険制度改悪は、財政面からの見直しです。まず税金などの見直しをすべきと考えます。 仲間のケアマネージャーからもこんな話を聞きました。「70代の夫婦と50代の息子、親子3人で暮らしています。介護保険は、妻は要介護2、夫は要介護1です。妻は病状的に、買い物や食事の準備は難しく、夫がおこなっています。 息子も持病があり、2人の介護をすることは難しく、できません。家族で支えあいながら、訪問看護やホームヘルパーを入れながら、なんとか生活しています」 「90代で1人暮らしの要介護1の方。生活援助のホームヘルパーを入れて生活しています」このような方はたくさんいます。今回の介護保険の改悪で「新予防給付」の対象になれば、生活も厳しくなります。こういう利用者の笑顔を奪うような改悪は絶対ゆるせません。 |